久住昌之さんの連載 第1回「寝不足は毒」

LIFE
「孤独のグルメ」原作者 久住昌之さんの連載


「孤独のグルメ」の原作者としてお馴染みの、漫画家・ミュージシャンの「久住昌之」さんに連載をお願いしたところ、快くOKしていただきました。毎月、美容と健康について久住さんの視点で連載していただきます。どんな話題が登場するか、お楽しみに。

第1回「寝不足は毒」

ついに、ボクが美容と健康のことを連載することになった。
還暦という歳に達したので、健康問題はいろいろ出てきている。
だけど、美容とは。このボクが、どのツラ下げて。
でも確かに、美容的に、ヤバイ年齢だ。どこそこのシワ。タルミ。シミ。抜けて、垂れて、落ちて、縮んで。
書き出してみたら、嫌なことだらけだ。完全にジジイだ。しゃーない60。
アンチエイジングとか、化粧とか、整形とか、今更そういうことに励む気はないが、人前にも出たりする仕事ゆえ、少しぐらい考えたほうがいいかもしれない。

それでちょっと、考えたんだけど。
子供の頃、夏にジュースや麦茶ばかり飲んでると、おばあちゃんによく、
「そんなに冷たいものばかり飲んでると、からだに毒だよ!」
と言われた。
夜暑くて、何もかけないで寝ても、からだに毒と言われた。テレビばかり見ていると、目に毒と言われた。
その時は、変な言い方するなぁと思っていたが、たしかに今思うと、その通りだ。
うん。逆に、いいじゃないか。健康と美容について、からだに毒なことから考えよう。そして、毒を排除する道を探ろう。

 

第一回は「寝不足は毒」にする。
睡眠不足は、からだに毒だ。これはもう絶対だ。
まず寝ないと、疲れがとれない。
疲れは、年齢とともに顔に出るようになる。まぶたが腫れぼったい。シワが深くなる。目の充血。声にハリがなくなる。
寝ない、つまりその前に起きすぎていたために、肌がカサカサ。あるいは脂ぎってる。どっちもダメだ。
これを毎日繰り返すことは、皮膚に毒を塗っているようなものだ。
これは美容的に、アウトでしょう。

何かを考えるにも、睡眠不足は、いいはずがない。
寝ている間は、目や耳から入ってくる情報は、遮断される。脳は休んでいる。
ところが、起きていて、ただテレビを見ているだけでも、視覚と聴覚に入ってくる情報の処理に、脳はずっと追われている。
深夜の面白くもないバラエティを、ぼんやり観ている最中、これは誰で、何を言っているか、どう面白いかつまらないか、脳は無意識に判断し続けている。この「し続けている」ところが、毒だ。
朝起きて寝るまで、脳は、目と耳と鼻と舌と皮膚から入ってくるさまざまな情報を、処理しつずけて、一日終わる。ものすごいご苦労さんなことだ。

脳も、休ませてあげないと、ちゃんと働けない。


本来の能力が発揮できない。
起きているだけで入り続ける、生きるためには必要でない情報という毒。
これは眠っている間にしか、抜くことはできない。
眠っている間、脳は休め流ので、情報毒は筋肉の疲れのごとく、消えていくのだ。

水木しげるさんが、晩年、亡くなった偉大な日本の漫画家たちに対して、
「彼らは寝ないで仕事したから、早死にした。水木センセイは、毎晩たくさん寝ているから、死なない」
と事あるごとに、言っていた。そして言葉通り、毎晩たくさん寝て、現役を続けて、93歳まで生きた。
水木先生の言うことは正しい。

寝不足の疲れた脳で、人が喜ぶようなことを、言ったり書いたりしたり、できるはずがない。
いや、寝ないで面白いことを書いた人は、その時はよくても、からだや脳に溜まった毒がやがて全身に回って、死に至る。

ちなみに、悪夢というのは、脳の毒素が抜ける時、見るものだとボクは思っている。
だから嫌な夢を見ても、脳の毒抜きが行われたのだと思うと、何か気持ちがスッキリする。
じゃあ、いい夢はどうかと言われると、それは素直にいいことだと思っている。
いいにつけ悪いにつけ、夢は、無意識の自浄的作用の現れだと、ボクは考えている。
脳が、自分の脳に毒なことを自らするとは思えない。

とにかく、夜は寝よう。睡眠こそ、最高のデトックス。
健康と美容は、少しでも長い睡眠から。
寝不足は、からだに毒。
「おやすみなさい」は愛の言葉だ。

快適な眠りのためにも、布団のダニ対策はお忘れなく。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。